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人を大切にする経営

坂本光司先生の経営学:「正しくあること」について(1)

投稿日:2020年10月27日 更新日:

こんにちは。 坂本光司先生(人を大切にする経営学会会長)は、著書 ”経営者のノート”のなかで「1)企業の”あり方”について、2)経営者の”あり方”について、3)企業の”やり方”について、4)”企業と社員”について、5)”正しくある”ことについて」それぞれ指針を示されています。

 本日から、「”正しくあること”について」の一部をご紹介させて頂き、個人的に感じていることについてもお伝えできればと思います。

1.”正しくあること”について①
 − 人は愛する人と自身の幸せのために働く −

2.”正しくあること”について②
 − 人の幸福は働くことにより得られる −

 

1.”正しくあること”について①
 − 人は愛する人と自身の幸せのために働く −

⚪️人はお金のためではなく、愛する人のため、
 自身も幸せになりたいために働く。

 坂本先生は、こう述べられています。「”人はお金のために働く”と考え、お金をはじめとする”物的なもの”に価値判断の基準をおく経営者がいるが、それは根本的に間違っている。それを証明するエピソードをひとつだけ紹介する。
ある日、新聞の”広告求人チラシ”を手に握りしめた女性が、20歳前後の娘さんと一緒に”ある農業法人”を訪ねてきた。そん母親は、社長に”求人チラシ”を見せて『この子は障がいがありますが、農業が大好きです。働かせてもらえないでしょうか』と嘆願した。社長は『お気持ちはわかるが、この子では無理だ』と断ると、母親は『私も朝8時から17時までこの子と一緒に働きます。給料は1円も入りません。どうかこの子を働かせてあげてください』と、涙ながらに頭を深く下げたという。”人はお金のために働く”と考えていた社長は、そのときを境に『人はお金のために働くのではない。愛する人びとのために働くのだ』と、考えを新たにしたそうです。社長がその娘さんを採用した後も、その農業法人は一貫して着実に成長しているのです。」

 北海道赤平市に”北海道光生舎”というクリーニング会社があります。創業者が、片目と両腕を失う過酷な運命にもめげず設立した”障がい者のための理想の会社”です。働くチャンスがない”障がい者に就労の場を提供する”だけでなく、”年老いて働けなくなっても一生面倒みる”と公約している会社です。ここでは、障がい者の方がたが自ら働き、わずかながらも税金を納めています。この会社でこんなエピソードがあったそうです。「知的障がいをもつ息子が”光生舎”の施設で暮らし工場で働きはじめて半年後、両親のもとに帰省した息子をみて『まるで別人のようになった』と両親は大変驚いたそうです。以前は、両親の言うこともなかなか聞かず扱いに困ることもあったのですが、そのときは体が精悍になっているし目もキラキラしていました。後日、母親が工場の従業員の方がたに息子の働きぶりを確認したら『息子さんはよく働き、みんなが本当に助かっている』と言われたのです。『息子は、一生人さまの世話になって生きていく』と思っていた母親は、それを聞いて涙が止まらなかったそうです。」誰にとっても「”働く”ということは本当に大切なことなのだ」と、心からそう思います。

 

2.”正しくあること”について②
 − 人の幸福は働くことにより得られる −

⚪️人の幸福は、働くことをおいて
 得ることは不可能である。

 坂本先生は、こう述べられています。「人の”幸せ”は、4つと言われる。1つ目は『人にほめられること』、2つ目は『人に必要とされること』、3つ目は『人の役に立つこと』、4つ目は『人に愛されること』である。この4つの幸せは、”働くこと”で得られる。どんなに重度の障害のある人でも”働く場”を欲しているのは”幸せになりたい”からであり、働くことがどんなに大変でも『ありがとう。あなたのおかげだよ‥』と言われたいからである。経営者は、”障がい者雇用”から目をそらさず、求める人には働く場をつくり、彼ら・彼女らの”幸せづくり”を支援するべきである。」

 以前もご紹介しましたが‥神奈川県川崎市に”日本理化学工業”という会社があります。社員の7割が知的障がいをもった方がたで、ダストレスチョークなどを造っている会社です。社長は、障がい者を雇いはじめた当初は「会社で毎日働くより施設でのんびり暮らす方が幸せなのではないか」とずっと疑問に思っていました。あるとき、お坊さんにその疑問をぶつけてみたら「幸福とは、①人に愛されること、②人にほめられること、③人の役に立つこと、④人に必要とされることです。これらは、”働く”ことによって得られるのです」と言われたのです。そのとき、社長は「人間にとって”生きる”とは、必要とされて働き、それによって自分で稼いで自立することなんだ」ということに気づきました。「それなら、”そういう場を提供する”ことこそ、企業の存在価値であり、企業にできる社会的使命なのではないか。」社長は、そう想ったそうです‥。

 

注)詳細は、下記の本に掲載されていますので、ご確認願います。

 

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今まで、企業、団体でいろいろな仕事をさせて頂き、多くの方々のご支援を頂きました。そのご恩返しとの想いもあり「みんながともに安定し豊かに生きられる社会」になればと活動を始めました。「”人を大切にするいい会社、組織”が増え、そこに関わる人や企業が増えるための支援活動」ができればと考えています。