こんにちは。 坂本光司先生(人を大切にする経営学会会長)は、著書 ”経営者のノート”のなかで「1)企業の”あり方”について、2)経営者の”あり方”について、3)企業の”やり方”について、4)”企業と社員”について、5)”正しくある”ことについて」それぞれ指針を示されています。
本日も、「”企業と社員”について」の一部をご紹介させて頂き、個人的に感じていることについてもお伝えできればと思います。
1.”企業と社員”について ⑦
− 社員が最も重視すべき人は”顧客”と”仲間”である −
2.”企業と社員”について ⑧
− 社員の”能力発揮度”を高めよ −
1.”企業と社員”について ⑦
− 社員が最も重視すべき人は”顧客”と”仲間”である −
⚪️社員が最も重視すべき人は、
社員ではなく”顧客”と”仲間”である。
坂本先生は、こう述べられています。「経営者や幹部社員は、経営において”社員とその家族”を最も重視し大切にしなければならない。しかし、社員自身が同様に考えてはならない。社員が最も重視しなければならない1人目は、”顧客”である。なぜなら、企業の提供する商品やサービスを評価するのは顧客だからである。顧客に嫌われた企業に未来はないし、顧客こそが企業の盛衰の決定権者だからである。社員が最も重視しなければならない2人目は、一緒に働く”仲間”である。働くとは『はた(傍)を楽に』することであり、『はた(傍)を苦しめ、犠牲に』することではないからである。このことを、すべての社員は心して生き、働かなければならない。」
九州の鹿児島市に”マコセエージェンシー”という会社があります。心をふるわせる”オリジナル会葬礼状”を作成する会社です。読む人を涙させる”オリジナル会葬礼状”を作成するのは、”マコセエージェンシーの社員”です。社員が、ご遺族や喪主に直接電話し、5分〜10分程度故人にまつわる話を聴きます。家族の突然の死に、”狼狽している人”、”悲しみに打ちひしがれている人”、”ただ泣くばかりの人”、”現実を受け入れられず怒り出す人”‥さまざまなご遺族がいます。そのような状況のなか、相手に深く共感し、ときには思い出話に付き合い、故人にまつわる話を聴きだすのです。ほんとうにご遺族の気持ちに寄り添わないとできないことでしょう。
電話取材の後、1時間以内で原稿にまとめ社内スタッフによる校正が行われます。「想いはちゃんと伝わっているか、ことばの使い方に問題ないか、誤字脱字はないか‥」皆んなが協力して、真剣に検討されます。このようにして、読む人の心がふるえ涙せずにはいられない”会葬礼状”が出来上がります。
”マコセエージェンシーの社員”は、ご遺族を大切に思い寄り添い、そして仲間が一生懸命協力 (傍を楽に)して、素晴らしい”会葬礼状”を作っているのです。
2.”企業と社員”について ⑧
− 社員の”能力発揮度”を高めよ −
⚪️社員の”能力発揮度”を高めよ。
坂本先生は、こう述べられています。「今後20年間で、日本の”労働力人口”は1000万人前後減少すると言われている。現在の”労働力人口比”では、約20%の減少である。こうした構造的労働力不足に対処するため、これまで十分に評価されなかった”高齢者”、”女性”、”障がい者”、”外国人”に関心が高まっており、この”4人”の雇用は当然推し進めるべきだろう。しかしより重要なことは、今働いている社員の”能力発揮度”を高める経営である。私たちの調査研究では、自身の能力50%以上を組織のために発揮している社員はほとんどおらず、大半は10%〜20%にすぎない。”能力発揮度”が異常に低い最大の原因は、上司や経営者の姿勢であり、それに対する社員の不信感なのである。」
私的なことですが‥私が以前所属していた会社は社員数が多く、優秀な人もたくさん在籍されていました。しかし、私から見ても、必ずしも”人財を活かす”ような人事配置や仕事の配分がされているようには思えませんでした。幹部社員や上司との相性の問題もあるのかもしれませんが、自身の持っている能力をほとんど発揮できない社員もいるように思えました。これでは、個人にとっても、会社にとっても、社会にとっても大きな損失になるでしょう。”人を大切にする会社”で行われているように、”社員1人1人に対し丁寧に育成・指導していく”ことが『社員の”能力発揮度”を高める』ことにつながるのではないかと感じています。坂本先生の指摘は、今後の社会にとっても大きな課題のような気がしています。
注)詳細は、下記の本に掲載されていますので、ご確認願います。