こんにちは。 坂本光司先生(人を大切にする経営学会会長)は、著書 ”経営者のノート”のなかで「1)企業の”あり方”について、2)経営者の”あり方”について、3)企業の”やり方”について、4)”企業と社員”について、5)”正しくある”ことについて」それぞれ指針を示されています。
本日も、「企業の”やり方”について」の一部をご紹介させて頂き、個人的に感じていることについてもお伝えできればと思います。
1.企業の”やり方”について 25
− 経営活動に不可能なことはほとんどない −
2.企業の”やり方”について 26
− 下請けは永遠に続ける経営ではない −
1.企業の”やり方”について 25
− 経営活動に不可能なことはほとんどない −
⚪️経営活動には、不可能なことはほとんどない。
ただただ時間がかかるだけである。
坂本先生は、こう述べられています。「”雨垂れ石をもうがつ”という格言は、私の座右の銘のひとつである。”あの小さな雨垂れでも、長い年月をかければ硬い岩盤でも破壊してしまう”という意味である。企業経営における問題への対処も、このことが当てはまる。経営問題の多くは、”できないのではなくやらない”、”できるまでやり続けない”結果である。”人材育成”や”新商品開発”なども同様である。私の調査では、偉大な商品や技術の開発は、10年以上かかるのが一般的である。しかし、多くの企業は、もう少しで地上に芽が出そうになっているのに試みを打ち切ってしまっている。覚悟と準備のない”人財育成”や”新商品開発”は、逆に社員を不幸にするだけである。」
以前ご紹介した”伊那食品工業”の経営方針の1つは、「成長の種まきを怠らない」です。つまり、「”年輪経営”を確実に実践していくために”研究開発”をしっかりとおこなう」ということです。坂本先生は、「”伊那食品工業”は、未来に対しての”種まき”を一生懸命にやり、しかも、継続的に水や肥しを与えているのです。」と、述べられています。「種をまき続ける。種をまくだけでなく、それを育てるために水や肥やしを与え続ける。」それを実践してきたからこそ、48年間増収増益を達成する会社になったのではないでしょうか。
2.企業の”やり方”について 26
− 下請けは永遠に続ける経営ではない −
⚪️下請けは、永遠に続ける経営ではない。
坂本先生は、こう述べられています。「製造業であれ流通業であれ、”独立企業”と”下請企業”の2つがある。”下請企業”は、不況時になると、市場の動向もさることながら、受注する仕事の量が発注者の意向に強く左右されてしまう。”下請企業”を、まるで”景気の調整弁”のように利用している企業も多々存在しているのである。しかし、多くの”下請企業”は、発注者に対して面と向かって歯向かうことはできない。明日の発注をストップされてしまうかもしれないからである。『こちらも世界的な競争のなかで生きていかなければならない。”下請企業”に我慢してもらうのは当然だ』という姿勢である。”下請企業”は、企業として永遠にやるべき業態ではない。」
先日もご紹介した”東海バネ工業”は、以前は造船や鉄鋼の大手企業の下請けをしていました。これらの業界は”必要な時だけ発注”、”必要な量だけ発注”のわがままなお客さまのようで、そのため”東海バネ工業”は、受注値段を下げ、儲からない企業であったのです。転機は、欧州視察でバネ工場の工場長から「値引きなんてしません。値段が折り合わないときは、商談は終わりでしょう」と言われて、「こちらの言い値で買ってもらえるようにしなければいけないのだ」と発想の転換を行なったときでした。それ以後、”東海バネ工業”は大量発注してくれる魅力的な企業をあえて捨てて、手間のかかる”多品種微量生産”の受注にこだわってきました。今や、売上高利益率も業界の平均を大きく上回るような企業となっているのです。
注)詳細は、下記の本に掲載されていますので、ご確認願います。