こんにちは。 坂本光司先生(人を大切にする経営学会会長)は、著書 ”経営者のノート”のなかで「1)企業の”あり方”について、2)経営者の”あり方”について、3)企業の”やり方”について、4)”企業と社員”について、5)”正しくある”ことについて」それぞれ指針を示されています。
本日も、「企業の”やり方”について」の一部をご紹介させて頂き、個人的に感じていることについてもお伝えできればと思います。
1.企業の”やり方”について 13
− 価格競争は人を幸せにしない −
2.企業の”やり方”について 14
− 特定の企業や市場に過度に依存してはならない −
1.企業の”やり方”について 13
− 価格競争は人を幸せにしない −
⚪️価格競争は、人を幸せにしない。
坂本先生は、こう述べられています。「企業の”競争力”には、”価格競争力”と”非価格競争力”の2つがある。”価格競争力”とは、価格の安さをセールスポイントとする経営で、常に発注者からの競争見積もりにさらされ、理不尽な取引きを強要される。こうした”競争力”では、中長期のスタンスに立つ”人財確保・育成”や、”研究開発”が困難になる。こういう経営からは1日でも早く決別したほうがいい。企業が持つべきセールスポイントは、”非価格競争力”である。具体的にいえば、”商品力”や”サービス力”、”技術開発力”、”ビジネスモデル力”、”スピード力”、さらに”人財力”といった価値である。つまり、その企業でしか創造・提供できない価値である。」
大阪に”東海バネ工業”という会社があります。絶対に値引きせず、”いい値”で販売しているバネメーカーです。”平均受注数”が1個から5個、”平均受注額”が数万円と、”多品種微量生産”にこだわっているこの会社からは、世界をあっと言わせる最先端のバネが次々と生まれています。東京スカイツリーの制振装置(風による揺れを制御する装置)には、揺れを吸収するための”巨大で精緻なバネ”が4つ設置されています。このバネを製造したのも、東海バネ工業なのです。東海バネ工業では、熟練した職人の技を大切にし継承することに力を注いできました。匠の技は、決して他に移転できない技術だからです。坂本先生が言われる「その企業でしか創造・提供できない価値を有する」いい例ではないでしょうか。
2.企業の”やり方”について 14
− 特定の企業や市場に過度に依存してはならない −
⚪️特定少数の企業や市場に、
過度に依存してはならない。
坂本先生は、こう述べられています。「企業経営でもっとも重要な指標は、経営の”安全性・健全性”である。企業経営の使命と責任は、社員とその家族をはじめとする企業に関係する人々の”生命と生活を守る”ことであり、絶対に企業を潰さず、永続させることだからである。盤石な経営、不安定に強い経営の実践方法は多々あるが、その1つがある 特定の企業や市場に過度に依存・期待しない経営である。具体的にいえば、まずは”独自の技術”を創造し、確保することである。そして、その技術を横展開し、多種・多様な市場の、可能な限り多くの、いい企業と取引関係を持つことである。」
”強い会社の人を大切にする経営”でも、次のように述べられています。「中小企業の一部には、特定の取引先に過度に依存したバランスを欠いた経営を行っています。そうすると、まとまった売上高を見通せるため、企業としては安心できる面があるからでしょう。しかし、自社製品に差別化要因がない場合は、取引先が永続的に自社に発注してくれる保証はなく、コストや納期の面で理不尽な要求に従わざるを得ない状況に陥る可能性を常にはらんでいます。自社製品に差別化できるポイントを見つけ、取引先を分散して”特定の取引先への依存度を低減する経営”に舵を切っていくべきです。」
注)詳細は、下記の本に掲載されていますので、ご確認願います。