こんにちは。 坂本光司先生(人を大切にする経営学会会長)は、著書 ”経営者のノート”のなかで「1)企業の”あり方”について、2)経営者の”あり方”について、3)企業の”やり方”について、4)”企業と社員”について、5)”正しくある”ことについて」それぞれ指針を示されています。
本日も、「経営者の”あり方”について」の一部をご紹介させて頂き、個人的に感じていることについてもお伝えできればと思います。
<本記事の内容>
1.経営者の”あり方”について 19
− 経営者の定年のシグナルは3つある −
2.経営者の”あり方”について 20
− 経営者はすべて中継ぎランナーである −
1.経営者の”あり方”について 19
− 経営者の定年のシグナルは3つある −
⚪️経営者の定年のシグナルは3つある。
3つに該当していたら、すぐにでも退出すべきである。
坂本先生は、こう述べられています。「経営者の辞めどきのシグナルは3つある。第1は、”起業家精神が明らかに低下したとき”である。第2は、”平時で2年連続赤字決算を余儀なくされたとき”である。第3は、”後継者が育ったとき”である。この3つのいずれかがある場合は、それを経営者の”定年のシグナル”ととらえるべきである。そして、定年後はできれば代表権は返上し、遠くから企業の成長・発展を見守ることである。」
経営者の引き際をみると、その人の人格があらわれると思います。私が尊敬するある経営者の引き際は、とても見事であったと今でも考えています。
その人が現役の社長の時です。詳細は今でも存じあげませんが、その経営者は緑内障と思われる病で視力が低下する事態になりました。常日頃から気力・体力は旺盛で、頭脳も明晰に思えましたので、私はまだまだ社長職を継続してほしいと心から願っていました。しかし、思いのほか視力の低下が激しかったのでしょう。「社長職を辞する」と早々に決められました。想像の域をでませんが「この健康状態だと”新たなことにチャレンジする気概”は持てない”」と考えられたのでしょうか? ”幾人か 後継者候補がおられた”ので、あっさり社長職を辞し、その後は”一切の役職につかれません”でした。後任者に対する配慮であろうと思いました。
退任されて数年後、たまたま元社長から一通の手紙を頂きました。「‥その後、目があまり見えなくなりましたので、静かで穏やかな生活を送っております。ときどき、社長を退任したときの夢をみます‥。」ずっと、会社のこと、社員のことを考えてこられた経営者でした。今でもそのときの判断が正しかったのか、社員のためによかったのか‥、考えることがあるのでしょう。そういう元社長の姿が、目に浮かんでまいりました。
2.経営者の”あり方”について 20
− 経営者はすべて中継ぎランナーである −
⚪️最終ランナーである経営者はいない。
経営者はすべて中継ぎランナーである。
坂本先生は、こう述べられています。「陸上競技のリレーは、4人が走者である。第1走者から第3走者の役割で最も重要なのは、次の走者ができるだけ早く最高のスピードで走れるよう、最も受けやすい位置でバトンを渡すことである。これを経営者で例えれば、創業経営者は第1走者、後継経営者は第2走者あるいは第3走者ということになる。ところが、自分自身を第4走者(最終ランナー)と勘違いしている経営者がことのほか多い。その結果、十分に時間をかけて後継者を育てずにおいてしまう。すべての経営者は、必ず誰かにバトンを渡さなければならないことを強く理解して経営にあたるべきである。」
私は、ある時期経営者の近くで働かせて頂いたので、いろいろな経営者を間近でみる機会がありました。比較的人数が多い会社でしたので、どの経営者もとても優秀で才能豊かな方がたばかりでした。しかし、普段のなにげない会話をお聞きしていると、多くの経営者は「経営者になることがゴール」と考えているように感じました。
坂本先生は、「”経営者”とは、”経営”という仕事をする人のことである」と言われています。そして「”経営”では、企業を存続(事業を継続)させることが重要である」とも言われます。なので「前任の経営者からスムーズにバトンを受け取り、全力で自分の期間を走り抜け、以前よりいい状態で次の経営者にバトンを引き継ぐ。」それが、面々と引き継がれる経営者の仕事なのだということでしょう。それゆえ、”最終ランナー”には決してならないのです。
注)詳細は、下記の本に掲載されていますので、ご確認願います。
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