こんにちは。 坂本光司先生(人を大切にする経営学会会長)は、著書 ”経営者のノート”のなかで「1)企業の”あり方”について、2)経営者の”あり方”について、3)企業の”やり方”について、4)”企業と社員”について、5)”正しくある”ことについて」それぞれ指針を示されています。
本日も、「経営者の”あり方”について」の一部をご紹介させて頂き、個人的に感じていることについてもお伝えできればと思います。
<本記事の内容>
1.経営者の”あり方”について 21
− 後継者には徳のある人を選べ −
2.経営者の”あり方”について 22
− 社長と会長の違いは我慢の度合いである −
1.経営者の”あり方”について 21
− 後継者には徳のある人を選べ −
⚪️後継者には、才より徳のある人を選べ
坂本先生は、こう述べられています。「毎年、多くの企業が廃業あるいは倒産しているが、主たる理由は後継者がいないか後継者選びの失敗である。後継者を選ぶのに、”親族である”とか、”長く頑張ってくれたから”とか、”最も仕事ができるから”という理由などで選定するのは間違っている。後継者の選定には、次の2つが必須条件である。1つは、企業の存立目的である企業理念を正しく理解し、理念に基づく言動をぶれずに行なっている人。2つは、好不況を問わず、社員や家族、とりわけ弱い人たちを最も愛し、大切にしている人である。後継者は、徳の優れた人を選ぶべきなのである。」
後継者の選定は、経営者の最も重要な仕事であるとともに、大変難しい仕事でもあると思います。”人を観る目”も必要になるからです。
私の近くで実際に起こったことですが‥ある会社の取締役が自分の後任としてA氏を選任しました。A氏は、いろいろな業務を無難にこなす極めて実務能力の高い人でした。その取締役は、A氏に全幅の信頼をおいていましたので、”A氏がその後継者となる”ことはとても自然なことでした。
予定どおり、その取締役の退任と同時に、A氏が後任取締役となりました。退任した取締役のことを最も理解しているA氏なので、前任者の方針を引継ぎ、更に進めることと誰もが思っておりました。ところが、取締役に就任するや、今までの方針を変更し新たな取り組みを始めたのです。”前取締役の方針に今まで反対だったのか”今となっては分かりませんが、個人的には無理に新たな方針に変更することはないように感じておりました。そして、今まで積み上げてきたものは無意味になり、結果的に”社員が今まで費やしてきた時間と労力”が無駄になってしまったのです。坂本先生の言われるように「企業理念を正確に理解しぶれずに行動する人」を選んでいたら、このような無駄な行動はしなかったように感じています。
2.経営者の”あり方”について 22
− 社長と会長の違いは我慢の度合いである −
⚪️社長と会長の最大の違いは、我慢の度合いである。
坂本先生は、こう述べられています。「多くの社長は、社長を退任したあと”代表取締役会長”に就任する。しかし、理想的には”代表権は返上し、現業や経営のやり方・進め方にあまり口を挟まない”ことである。なぜなら、社長は会長の言動を気にするあまり独自性を発揮する経営ができないばかりか、社員も二頭政治に振り回されてしまう。具体的には、会長は社長より早く出社すべきではないし、社長より遅くまで居残るべきでもない。会議の場では、発言を社長より少なくしなければならない。会長職の鉄則である。」
以前に、私の尊敬する経営者の”社長の引き際”のお話をお伝えしました。その経営者は、社長を退任するとき”取締役会長”、”相談役”、”顧問”などの役職には一切つかず、完全に退任されました。
しかし、一般的には坂本先生の言われるように、”何らかの役職”で残ることが多いようです。そのようなときでも、せめて「現在の社長が、思う存分自分独自の経営が行えるように配慮すべきである」と言われているのだと思います。
注)詳細は、下記の本に掲載されていますので、ご確認願います。
【amazon】経営者のノート 会社の「あり方」と「やり方」を定める100の指針
経営者のノート 会社の「あり方」と「やり方」を定める100の指針 [ 坂本光司 ]