こんにちは。 坂本光司先生(人を大切にする経営学会会長)は、著書 ”経営者のノート”のなかで「1)企業の”あり方”について、2)経営者の”あり方”について、3)企業の”やり方”について、4)”企業と社員”について、5)”正しくある”ことについて」それぞれ指針を示されています。
本日も、「経営者の”あり方”について」の一部をご紹介させて頂き、個人的に感じていることについてもお伝えできればと思います。
<本記事の内容>
1.経営者の”あり方”について ⑦
− 社員であった頃のことを忘れる人はろくな経営者にならない −
2.経営者の”あり方”について ⑧
− 組織の長を超える人財は決して育たない −
1.経営者の”あり方”について ⑦
− 社員であった頃のことを忘れる人はろくな経営者にならない −
⚪️社員であった頃のことを忘れてしまうような人は、
ろくな幹部社員・経営者にならない。
坂本先生は、こう述べられています。「経営者や経営幹部は常に、自分が社員だったら、自分が相手だったらという思いを心に、経営に当たらなければならない。社員にノルマをかけたり、業績が低下した際に希望退職を募るといったバカげたことは行うべきではない。また、大企業に依然みられるような、協力企業等へのまるでいじめのような理不尽な取引きも同様である。自分が相手の立場だったら、という姿勢・思いを決して忘れてはならない。」
私自身も、ある企業で業績が低迷した際に、ともに働いてきた仲間がリストラで会社を去っていった悲しい経験をしています。そのときの組織のリーダーに直接疑問をぶつけてみましたが、方針は変わりませんでした。その経営者に「自分が相手の立場だったらという思いを、もう少し持って頂けていたら‥」と、今でも思い起こすことがあります。すべての経営者に、坂本先生のこのことばが響くことを、心から願ってやみません。
2.経営者の”あり方”について ⑧
− 組織の長を超える人財は決して育たない −
⚪️同一組織においては、
組織の長を超える人財は決して育たない。
坂本先生は、こう述べられています。「いかなる組織でも、人格・識見・能力の総合力で、組織のトップに勝る社員はいないはずである。もし、総合力が組織の長を明らかに超えていると思われる人財がいたとすれば、現実的にはその人は組織内で100%の力を発揮することはできないだろう。そのようなとき、どうすればいいか。ひとつは、組織の長が誰よりも研鑽し、組織構成員から尊敬され、目標となる存在になることである。もうひとつは、もしそうした人材が組織内にいたなら、潔く自分の地位をその人に譲ることである。」
ある地位についた人が、自分の進退を決めることはとても重要ですが、また難しいことだと思います。私には、若い頃尊敬していた経営者がいました。そのときどきの経営環境を常に冷静にみておられ、着実に舵とりをされる経営者でした。若い者にも気さくに接してこられ、直接いろいろな声を聞いてくださいました。その経営者の引き際は、見事でした。
詳細は存じませんが、あるとき病に侵され視力が急激に落ちたのです。われわれと接して頂く際には まったく変わった様子は感じなかったのですが、自分では以前のように100%の力を発揮できないと思われたのでしょう。まだまだ経営者として手腕を発揮頂きたいと思ったのですが、潔く退かれ後継者に経営を任されたのです。「社員のためには、後継者に経営を任せた方がいい」と判断されたのでしょう。最後まで、会社と社員のことを思っておられる経営者でした。
注)詳細は、下記の本に掲載されていますので、ご確認願います。
【amazon】経営者のノート 会社の「あり方」と「やり方」を定める100の指針
経営者のノート 会社の「あり方」と「やり方」を定める100の指針 [ 坂本光司 ]