こんにちは。本日も、坂本光司先生(人を大切にする経営学会会長)の著作に掲載されている”人を大切にする会社”を、著作の記載をもとにご紹介させて頂きたいと思います。
①”人を大切にするいい会社”の実例を多くの方々に知って頂き、
②(経営者の方には)参考にして 自分の会社をいい会社にして頂き、
③(それ以外の方には)そういう会社と共に働くことで、
皆さんが安定して豊かな生活を送ることにつながればいいなと願っています。
今回は、”伊那食品工業(寒天の製造販売)”についてご紹介いたします。
(”伊那食品工業”のホームページ:https://www.kantenpp.co.jp )
1.社是は”いい会社をつくりましょう”
− 会社を取り巻くすべての人びとが”いい会社だね”と言ってくださる会社 −
2.”社風”を伝えるエピソード
− 関わるすべての人びとの幸せのため着実で堅実な経営をおこなう −
3.”私が感じていること”
− 会社は”社員の幸せのためにある” −
1.社是は”いい会社をつくりましょう”
− 会社を取り巻くすべての人びとが”いい会社だね”と言ってくださる会社 −
⚪️”生きていること、働けること自体がよろこび
今の”伊那食品工業”にした先代社長は、10代の頃結核で3年間入院し生死をさまよいました。「生きていること、働けること自体がとてもうれしく、誰よりも仕事に精をだしました。」その姿が社員のモチベーションを高め、今の”伊那食品工業”につながっていきました。
その後、先代社長は”すべてにおいて敵をつくらない経営”を実践していきます。「同業他社にはできないオンリーワン商品を創りました。下請け企業には、適正価格で取引するなどの配慮をしてきました。地域住民の方がたには、環境問題も含めご迷惑をお掛けしないよう配慮してきました。」この継続が、顧客満足度も地域満足度も社員満足度も下請満足度も高い”伊那食品工業”をつくったのです。
2.”社風”を伝えるエピソード
− 関わるすべての人びとの幸せのため着実で堅実な経営をおこなう −
”伊那食品工業”の社風が分かる”エピソード”をお伝えしたいと思います。
⚪️自社で考え、自社で創って、自社で売る
”伊那食品工業”は、目先の利益を追って無理な成長はしません。全国展開している大手スーパーが、”伊那食品工業の商品を売りたい”と言ってきたことがありました。注文を受ければ、1年間で何十億円もの売上げになります。
「申し訳ありませんが、当社の身の丈に合いませんのでお断りさせて頂きます。一時的に無理をすると後で反動を招き永続を阻むことになります。商品をたくさん売ることは目的ではないのです。この会社は”自分で考えたものを自分で創り、自分で売る”主義なのです。そうしないと、”創った人のよろこびと苦労”がお客さまに伝わらないですから‥。」このように、社員とお客さまに配慮した経営をブレずに続けてこられました。
⚪️100年カレンダー
”伊那食品工業”は、100年先をみて経営をしているそうです。
「この会社は、100年先をみて経営しています。会社を継続させるため、この世になかった商品(オンリーワン)を創ることをめざし、”成長の種まき”を怠りません。未来への種まきを一生懸命行い、継続的に水や肥やしを与えているのです。」
そして、先代社長はこう続けます。「成長するのも利益を上げるのも、会社を継続させるためです。なぜ継続させるかと言えば、”社員を幸せにする”ためです。」
会社のあちこちには、社員教育のために”100年カレンダー”が貼ってあるそうです。100年カレンダーを見せながら新入社員に自分の命日を入れてもらい、残りの人生の生き方働き方を考えてもらうのです。
⚪️市民が憩う開かれた会社
”伊那食品工業”の本社は3万坪の敷地がありますが、自然のかたちを活かすということで”建物が斜めに建っていたり”します。塀もないので、どこまでが敷地かわかりません。敷地の中に”通学路”もあります。”そのような公園の中に寒天工場がある”ということで、「かんてんぱぱガーデン」と呼んでいます。
社員たちは、ここを自分たちの庭だと思っているようで、朝早くに会社に来て”離れた道路・溝やマンホールの中”までみんなで掃除をするのです。休みを利用して”花の剪定”をする者もいます。
「訪れる人が安心して憩える空間です。ベンチでゆっくり四季折々の風景をお楽しみください。食事や喫茶ができる場所も売店もあります。他にも、アート鑑賞をしたり、地域の文化施設もあります。」”伊那食品工業”で働く社員は、ガーデン内の心配りだけでなく、プライベイトでも周りへの配慮を欠かさないそうです。
3.”私が感じていること”
− 会社は”社員の幸せを通して社会に貢献するためにある” −
⚪️会社は社員の幸せを通して社会に貢献するためにある
”伊那食品工業”は、創業以来1度も”リストラ”を行ったことがありません。「”リストラ”を行うような経営は間違っています。我が社は、これまでも、これからも”リストラ”はやりません。なぜなら、我が社にとって人件費はコストではなく目的である”社員の幸せを実現するための生活費”だからです‥」
この会社は、社員のためならこんなことまでします。「”寒天を漬けるために使う大きな石”を、社員が操作を誤って”足先に大怪我”をしました。当時、会社がようやく黒字転換したばかりで、資金面の余裕も全くないときでした。先代社長は悩みましたが、「社員に二度と危ない作業はさせられない」と、安全のために多額の設備投資を実行しました。これほどまでに、社員のことを考える会社なのです。
”伊那食品工業”は、新規商品の開発を継続し、寒天業界では”国内80%、世界で15%のシェア”を持つトップ企業になりました。48年間、増収増益も継続致しました。「この会社は、”継続”を心がけて着実で堅実な経営を行う”年輪経営”です。そうすることによって、取引先や顧客、社員など社会にご迷惑をかけないようにしております。」
注)字数の関係で、一部の情報しかお伝えできません。詳細は、下記の本に掲載されていますので、ご確認頂ければ幸いです。
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