こんにちは。 坂本光司先生(人を大切にする経営学会会長)は、著書 ”経営者のノート”のなかで「1)企業の”あり方”について、2)経営者の”あり方”について、3)企業の”やり方”について、4)”企業と社員”について、5)”正しくある”ことについて」それぞれ指針を示されています。
本日も、「”正しくあること”について」の一部をご紹介させて頂き、個人的に感じていることについてもお伝えできればと思います。
1.”正しくあること”について③
− 真の強者は弱者に優しい −
2.”正しくあること”について④
− 私たちが支援しなければならないのは真の弱者である −
1.”正しくあること”について③
− 真の強者は弱者に優しい −
⚪️真の強者は弱者に優しい。
偽物の強者は弱者に冷たい。
坂本先生は、こう述べられています。「強者には、”真の強者”と”偽物の強者”がある。”偽物の強者”とは、仕事はできるかもしれないが、利他の心が著しく欠落し、自利優先・自己中心的な言動をする人びとである。”真の強者”とは、利他自損の心がとりわけ強く、人に喜ばれることを自分自身の喜びとする心優しい人びとである。それでは、”偽物の強者”と”真の強者”は、どうすれば見分けがつくのか。言葉だけ或いは1日程度の立ち居振る舞いだけでは、2人の違いは分からない。日常的な言動、特に弱者に対する姿勢と言動を見ていれば、”本物の強者”か”偽物の強者”かは、嫌でも分かって来るものである。」
島根県大田市に”中村ブレイス”という会社があります。1人ひとりのお客様に対応した義肢装具をつくる会社です。世のなかに本当に必要なものをつくっているので、好不況に関係なく業績が伸び続けています。この会社が”どれだけ弱者に優しいか”、1つのエピソードをご紹介します。「モンゴルで大火災が発生し、放牧していた羊を助けるために火傷を負い、両足を付け根から切断した少年のことを知った創業者が、『その子の義肢をつくりたい』と協力を申し出ました。遊牧民であった少年を探すのに苦労しますが、新聞社の協力で探しだし『その子と父親の旅費・滞在費を全て”中村ブレイス”で負担する』と全社で迎えました。成長期の少年の成長に合わせながら義肢を調整するので大変苦労しましたが、社員総がかりで数年かけて義肢をつくり上げたのです。」これほど”弱者に優しい会社”があるでしょうか。”真の強者の会社”と思っています。
2.”正しくあること”について④
− 私たちが支援しなければならないのは真の弱者である −
⚪️世のなかに弱者は2種類ある。私たちが
支援しなければならないのは真の弱者である。
坂本先生は、こう述べられています。「世のなかに、”弱者”と呼ばれる人びとは2種類ある。1つは、中小企業や小規模事業者など、大企業と比較した場合の”経済的弱者”である。もう1つは、障がい者や高齢者、生活困窮者といった”社会的弱者”である。どちらの”弱者”に対しても、国は長い間支援を続けてきた。しかし、中小企業のすべてが本当に”弱者”といえるだろうか。創業時はともかくとして、創業後20年、30年経過した企業に対して、ただ小さいという理由で”保護・救済策”をとり続けるのは、企業の起業家精神を衰えさせるので必ずしも正しいことではない。一方、障がい者や高齢者などの”社会的弱者”は、多くの場合その人の限界を超えた問題を抱える”真の弱者”である。国の支援は、そうした”真の弱者”に振り向けられるべきである。」
”真の弱者”である”高齢者”にも”障がい者”にも優しい経営をしている会社があります。静岡県磐田市にある”コーケン工業”です。この会社では、10代〜90代までの社員が家族のように助け合って仕事をしています。この会社の基礎をつくった前社長は、”最も徳のある人間と思う人”を後任の(現)社長に選びました。「会社のなかで”いちばん役に立つ人”を社長にするのが正しい継承です。”役に立つ人”とは『人を大切にできる人物』です。”才”が少々劣っても『世のため人のために頑張れる”徳”のある人間』を社長にすべきなのです。人のために役立とうと思ったら能力が必要ですので、自ら”才”を高める努力をしますから‥。」前社長はこのように述べられています。このように、”真の弱者”を大切にする社風が引き継がれているのです。
注)詳細は、下記の本に掲載されていますので、ご確認願います。