こんにちは。 坂本光司先生(人を大切にする経営学会会長)は、著書 ”経営者のノート”のなかで「1)企業の”あり方”について、2)経営者の”あり方”について、3)企業の”やり方”について、4)”企業と社員”について、5)”正しくある”ことについて」それぞれ指針を示されています。
本日も、「”企業と社員”について」の一部をご紹介させて頂き、個人的に感じていることについてもお伝えできればと思います。
1.”企業と社員”について 15
− 社員がやる気を失くす最大の要因は経営者・上司に対する不信感である −
2.”企業と社員”について 16
− 経営者に立てつく社員には2つのタイプがある −
1.”企業と社員”について 15
− 社員がやる気を失くす最大の要因は経営者・上司に対する不信感である −
⚪️社員がやる気を喪失する最大の要因は、
経営者や上司に対する不平、不満、不信感である。
坂本先生は、こう述べられています。「社員がやる気を喪失したり、会社を辞めたりする最大の理由は、より給料の高い著名な企業やお店ができたからではない。経営者や上司に対する”不平”、”不満”、”不信感”が鬱積したことが原因である。”不平”、”不満”を生み出す最たるものは、いわゆる”リストラ経営”であり、理不尽なことを平気で社員や取引先に強要する”損得重視経営”である。企業の原点は、”家族”である。企業を家族に例えるなら、社長は親である。子どもを犠牲にして、自分のお腹を満たすような生き方をする父親、母親などどこにもいない。自分自身の努力不足、勉強不足がもたらした失敗を、罪のない社員になすりつけるような経営者が、社員から信頼されるはずがないのである。」
私的なことですが‥私は以前ある企業組織のマネージャーをしていました。全国にいる事業部の方々の支援組織で、全国からいろいろな相談を受ける多忙な部署でした。部員たちは毎日多忙な日々を過ごしていましたが、私の力不足でなかなか環境改善ができずにいました。このときに最も重要視したのは、部員と話す機会(仕事の打合せ、仕事・個人的な相談、個人面談‥)を出来るだけつくることでした。そのことによって、各人が抱えている問題や希望をできるだけ把握し、解決できることは解決したいと考えたのです。業務多忙で不十分でしたが、年に2回、各人と約1時間の個別面談は行うようにしました。部員からすると不十分だったと思うのですが、ある程度の人は不満をそれほど蓄積せずに働いてくれたのではないかと考えています。ただ、最後まで”環境改善ができなかった”ことは、私にとっては大いに反省すべき経験でした。
2.”企業と社員”について 16
− 経営者に立てつく社員には2つのタイプがある −
⚪️経営者に盾つく社員には2つのタイプがある。
見誤ると、かけがえのない人財を失う。
坂本先生は、こう述べられています。「どんな組織にも、経営者や幹部社員に批判的な言動をする社員がいる。こうした社員には、おおむね2つのタイプがある。1つは、”経営者や組織の経営の考え方・進め方が根っから気に入らない”か、”常に反対ありき”といった言動をする”破壊のための破壊者”である。もう1つは、”顧客の言動や企業のあるべき姿を踏まえ、所属する組織を何とかよくしたい”と、いてもたってもいられず経営者や上司に盾つく”創造のための破壊者”である。この2人は、どちらも経営者や上司に楯つくので、同類と勘違いされがちである。その結果、経営者は”創造的破壊者”の発言に耳を貸さないばかりか、その言動に対して”評価”という刃物で冷たくあしらってしまうことが多い。こういうことが繰り返されると、”創造的破壊者”はやがて疲れ果て、歌を忘れたカナリアのように静かになってしまい職場を去っていく。経営者は、この2つのタイプをしっかりと見抜かなければならない。」
私的なことですが‥私は、以前ある組織に所属していました。そのなかには、必ず”組織の方針に批判的な言動をする”社員がいました。私も、マネージャーのときにそういう部員と議論することがよくありました。そのときに強く感じたことは、「組織方針に批判的な言動をする社員は”何らかの問題意識”を持っているので、その社員の問題意識を把握することはとても大切である」ということでした。その”問題意識”がとても”本質的で重要なものである”ことがあるからです。
そのときには、可能であれば”その社員とface to face で2人で話す”ように努めていました。人間というのは、複雑な感情を有しているので、出来るだけ表情を観て本音で話したいと考えたからです。(そのようにできないことが多かったですが‥)そういう時間をとれた際には、とてもいい議論ができ、いい結果につながったように思っています。経営者や幹部社員には、「批判的な言動をする社員にはできるだけ耳を傾ける」ようにお願いしたいと思います。必ず、得るものがあると信じているからです。
注)詳細は、下記の本に掲載されていますので、ご確認願います。