こんにちは。 坂本光司先生(人を大切にする経営学会会長)は、著書 ”経営者のノート”のなかで「1)企業の”あり方”について、2)経営者の”あり方”について、3)企業の”やり方”について、4)”企業と社員”について、5)”正しくある”ことについて」それぞれ指針を示されています。
本日も、「”企業と社員”について」の一部をご紹介させて頂き、個人的に感じていることについてもお伝えできればと思います。
1.”企業と社員”について 13
− 離職率は社員幸福度をはかるメルクマールである −
2.”企業と社員”について 14
− 人財が最も嫌うのは”管理”である −
1.”企業と社員”について 13
− 離職率は社員幸福度をはかるメルクマールである −
⚪️離職率は、社員満足度・幸福度を
はかる最大のメルクマールである。
坂本先生は、こう述べられています。「社員の満足度・幸福度を示すメルクマールは、社員の意識調査などではなく、社員の”転職的離職率”である。結婚や家庭の事情、定年退職などで離職するのはともかく、その企業・その仕事が嫌になって離職する”転職的離職率”は可能な限り低いほうがいい。私たちの研究では、社員やその家族の幸せを第一に考えて経営し業績が安定している企業では、”転職的離職率”は限りなくゼロに近い。近年よく言われる”新卒入社後3年以内の離職率”が『7:5:3(中卒7割、高卒5割、大卒3割)』であることなど、異常というしかない。幸せを求め縁あって入社した社員が、まるで”ざるに入れた水”のように去っていく組織が健全であるはずがないのである。」
もう40年近く前のことになりますが‥私が新入社員の頃は、縁あって入社した会社を2−3年で離職する人は日本ではほとんどいませんでした。近年の報道で「新卒3年以内に離職する人が多い」と聞くと、なんとも異常に感じるのは私だけではないと思います。社会に出れば、今までにはなかった辛い経験をすることは確かにあるでしょう。しかし、希望に溢れ、夢を持って入社するのですから、こんな短期間で退職するのは、それだけではない理由があるからだと個人的には想像しています。
私見ですが‥以前の日本企業の多くは、社員の長期雇用を前提として採用し、社員の成長が企業の成長につながると考え社員教育にも熱心であったと感じています。福利厚生面でも社員を大切にきました。それらの取組みがベースとなり「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われるほど、多くの日本企業が素晴らしい成長を遂げたのだと思います。坂本先生の研究では「社員やその家族の幸せを第一に考えて経営し業績が安定している企業では、”転職的離職率”は限りなくゼロに近い。」という結果だそうです。近年の新入社員が早期に退職してしまうのは、”今の多くの日本企業が以前と比べて相対的に社員を大切にしていない”からなのではないでしょうか‥。私が「”人を大切にする会社”や”人を大切にする会社”と取引する会社、”人を大切にする会社”で働く人たちが増えてほしい」と願う理由は、このように思うからなのです。
2.”企業と社員”について 14
− 人財が最も嫌うのは”管理”である −
⚪️人財が最も嫌うのは、
”管理”という名の刃物である。
坂本先生は、こう述べられています。「”じんざい”には、2つのタイプがある。”人材”と書く人と、”人財”と書く人である。”人材”は、”指示待ち型”、”依存・追随型”、”変化を嫌う硬直型”というタイプである。”人財”は、”提案型”、”自立型”、”創造型”、”変化を好むフレキシブル型”というタイプで、まさに時代が求め必要とされている人財である。”人財”は、管理や、指示命令を最も嫌い、強要するとモチベーションを下げてしまう。管理や指示命令ほど、創造や自立、自由の邪魔になる刃物はないからである。”人財”を確保・育成したいと思うなら、可能なかぎり管理や指示命令をしてはならない。」
私が以前所属していた企業にも、いろいろなタイプのマネージャーがいました。私は、幸運にも”いい上司”に恵まれ、与えられた仕事の目標を達成するためのプロセスは比較的自由にさせて頂けることが多かったと思います。自分で調べたり勉強することも多くなり、スケジュール管理も自らする必要がありましたが、やり甲斐もあり充実したときを過ごせました。何より”自分が成長した”と実感できました。坂本先生は、次のようなことを伝えておられるのではないでしょうか。
「社員に仕事の”指示命令”をし、その進捗状況などを”管理”するようなことは社員のためにならないから止めるべきである。そうではなく、社員には仕事の”到達目標”を伝え、それに対し”自由に取組むチャンス”を与えるべきである。そうすることで、社員は自ら考え、努力し、結果として社員が成長することにつながるのである。」
注)詳細は、下記の本に掲載されていますので、ご確認願います。