こんにちは。 坂本光司先生(人を大切にする経営学会会長)は、著書 ”経営者のノート”のなかで「1)企業の”あり方”について、2)経営者の”あり方”について、3)企業の”やり方”について、4)”企業と社員”について、5)”正しくある”ことについて」それぞれ指針を示されています。
本日も、「”企業と社員”について」の一部をご紹介させて頂き、個人的に感じていることについてもお伝えできればと思います。
1.”企業と社員”について ③
− 人財は正しい経営のなかで自然に育つ −
2.”企業と社員”について ④
− CSを高めたいならESを飛躍的に高めるべきだ −
1.”企業と社員”について ③
− 人財は正しい経営のなかで自然に育つ −
⚪️人財は、アメやムチではなく、
正しい経営のなかから自然に育つ。
坂本先生は、こう述べられています。「”人財”の確保・育成は、企業の盛衰の決め手である。”人財”こそが企業の価値創造の唯一の担い手だからである。優秀な”人財”を確保・育成するため、これまで多くの企業は、まるで”アメとムチを使い分ける”ような人事労務施策を講じてきた。しかし、人財が集まり育っている”いい企業”の経営者は、そのリーダーシップの発揮の仕方がこれまでとは大きく異なっている。”業績や勝ち負け”などではなく、企業の真の使命と責任を果たすために誰よりも”努力”し、”人間味あふれる厳しさ”のなかに”温かさ”と”優しさ”が感じられる”正しい経営”を進めているのである。だからこそ、社員は燃えるし、求職者はその企業に魅力を感じるのだ。ちなみに、”正しい経営”とは、”偽りのない、真に世のため人のためになる経営”である。」
島根県松江市に”島根電工”という会社があります。電気工事などの生活に必要な設備工事を行っている会社です。この会社は、地域の”お助け隊”として活動し、地域の個人需要に応える”諸口工事”を主としています。若い社員に聞くと「お客さまが感動してくれるので最高です。お客さまが喜んでくれることが自分の生きがいです」と答えるそうです。このような社員の意識は、経営者の考え方が強く影響しています。「かわいい部下は子供と同じです。リストラは、どんなことがあってもやりません。われわれは、社員を守らなければならないのです。そして、1人でも多くの社員が『この会社にいていい人生を送った。良かった』と思ってもらいたいのです。」このように家族的な会社なので、社員の方がたは”皆さんいい顔をしています”。”島根電工”の社長は次のように言われます。「人は誰でも、苦しみのための苦しみ、夢のない苦労はしたくないでしょう。夢のある苦しみであれば、どんなに苦しくても耐えることができるのです。」
2.”企業と社員”について ④
− CSを高めたいならESを飛躍的に高めるべきだ −
⚪️CSを飛躍的に高めたいなら、
その前にESを飛躍的に高めるべきだ。
坂本先生は、こう述べられています。「”CS”、つまり”顧客満足度”を高める経営は極めて重要である。しかし、”CS”より重要なのは、”ES”、つまり”社員満足度・社員幸福度”である。これは当然のことで、”顧客満足度”が高い商品を創造するのも、顧客が感動・感嘆するようなサービスを提供するのも”社員”だからである。逆に言えば、所属する組織への満足度が低い”社員”や、幸福度が低い”社員”、上司や経営者に不平・不満・不信感のある”社員”が、”顧客満足度”を高めるような価値ある仕事をするわけがない。
”CS”を飛躍的に高めたいと思うのであれば、その前に真に”社員や社員の家族”の心に染み入るような『”ES”を高める経営』をすべきである。」
千葉県鴨川市に”亀田総合病院”という病院があります。地理的に決して便利な場所ではないのですが、1日の外来数は2,500人から3,000人と想像を絶するほど多くの患者がきます。そのほとんどは、他医療機関や友人・知人の”紹介”です。”亀田総合病院”を選ぶ理由の大半は、「医療が充実しており、病院スタッフがとても親切で安心できるから」だそうです。病院長は、次のように言われています。「私がいちばん多くの時間を割いている仕事、いちばん大切と思っている仕事は、医師や看護師をはじめとする『病院スタッフの”命”と”生活”を守る』ことです。」”亀田総合病院”には、たくさんの優秀な医療従事者が「この病院で働きたい」とやってきます。治療や検査だけでなく、”新たな医療を研究できる環境”も整っています。また、病院スタッフの健康管理のために、病院内に”医務室”まであります。「最先端の設備が整っており、いい研究ができるし、仲間は優秀なスタッフです。こうした環境があるからこそ、医師をはじめスタッフたちは”患者の心と体を癒す治療”に取り組むことができるのです。」”ES”を高める経営の代表的な例の1つではないでしょうか。
注)詳細は、下記の本に掲載されていますので、ご確認願います。
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経営者のノート 会社の「あり方」と「やり方」を定める100の指針 [ 坂本光司 ]
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